全国のJR線の快速・普通列車が乗り降り自由となる「青春18きっぷ(以下18きっぷ)」。知っておきたい使い方のキホンのキからお得な使い方、さらに旅の可能性を広げるトクトクきっぷとの組み合わせまでを徹底ガイド。18きっぷを使って、この夏をもっともっと楽しもう!

「名古屋発日帰り、うっとり優美なお茶の旅」のルートはこちら!

【日帰り】
名古屋駅→関西本線・奈良線・東海道本線→名古屋駅

名古屋駅→加茂駅 “お茶の京都”1つ目の町・加茂へ

亀山〜加茂間を走る関西本線バージョンの「お茶の京都トレイン」。木津〜京都間の奈良線では別バージョンが運行中。
亀山〜加茂間を走る関西本線バージョンの「お茶の京都トレイン」。木津〜京都間の奈良線では別バージョンが運行中。

宇治をはじめとする京都府南部の山城地域は、日本有数のお茶の名産地。鎌倉時代に中国から伝わって以来、800年にもわたって日本茶文化が育まれてきた。そんな日本茶のふるさとをめぐり、さまざまなお茶と歴史を味わう旅へと出発。

関西本線の関駅で途中下車し、関宿をぶらりと散策。そして、2023年にデビューしたラッピング列車「お茶の京都トレイン」に乗り込み、一路京都を目指す。最初の“お茶の京都”は木津川(きづがわ)市。「市の加茂や上狛(かみこま)地域はかつてお茶の集積地として栄えた場所なんですよ」。加茂駅の『大佛汽茶(だいぶつきっちゃ)』の店主・古屋研一郎さんがそう教えてくれた。

関宿は東海道五十三次の47番目の宿場町。江戸時代の風情がいまも色濃く残る(関駅から徒歩10分)。
関宿は東海道五十三次の47番目の宿場町。江戸時代の風情がいまも色濃く残る(関駅から徒歩10分)。

【加茂駅】『大佛汽茶』地産和紅茶と真紅の汽車の歴史を味わう

おすすめは、信楽(しがらき)焼の特製ポットで淹(い)れる和紅茶と自家製スコーンセット700円。
おすすめは、信楽(しがらき)焼の特製ポットで淹(い)れる和紅茶と自家製スコーンセット700円。
右から古屋研一郎さん、妻の暢子さん、スタッフの森口凜音さん。
右から古屋研一郎さん、妻の暢子さん、スタッフの森口凜音さん。

地域で生産されるお茶とかつてこの地域を走っていた大仏鉄道をテーマにしたカフェ。「地域の歴史や産業の素晴らしさを再発見できる交流空間になれば」と店主の古屋研一郎さん。くつろぎの空間で和紅茶をゆったりと味わいたい。

☎0774-99-2050
土・日・祝の10:00~16:00(月~金は予約で営業)
京都府木津川市加茂町兎並東前田23-1 2F
JR関西本線加茂駅から徒歩1分

【加茂駅】真紅の汽車のいた町

加茂駅近くには蒸気機関車「C5756」を展示。
加茂駅近くには蒸気機関車「C5756」を展示。
明治時代に奈良〜加茂間を真紅の蒸気機関車が走っていた大仏鉄道の遺構が残る。
明治時代に奈良〜加茂間を真紅の蒸気機関車が走っていた大仏鉄道の遺構が残る。

【棚倉駅】「神童寺」優美でキュートな仏像に癒やされる

白い不動明王は全国でも唯一。まるで童子のような丸いお顔も愛らしい。
白い不動明王は全国でも唯一。まるで童子のような丸いお顔も愛らしい。
本尊は蔵王権現像。3mもの堂々たる姿で、金峯山寺(きんぷせんじ)に次いで大きいそう。
本尊は蔵王権現像。3mもの堂々たる姿で、金峯山寺(きんぷせんじ)に次いで大きいそう。

静かな山間にある、聖徳太子が創建したと伝わる古寺。収蔵庫には重要文化財である平安古仏が数多く安置される。なかでも不動明王立像は螺髪(らほつ)に白い彩色というお姿が珍しく、県内外から多くの仏像ファンが訪れる。

☎0774-86-2161
9:00~17:00、無休。500円
京都府木津川市山城町神童子不晴谷112
JR関西本線棚倉駅から車10分

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加茂駅→宇治駅 “お茶の京都”2つ目の町・宇治へ

その後はお茶の名店が数多く集まる宇治駅へ。せっかくならここでしか飲めないお茶をと向かったのは、『Matcha Roastery(まっちゃ ロースタリー)』。“ロースト抹茶”という珍しいドリンクで小休止。

【宇治駅】『Matcha Roastery』お茶の都で焙煎香漂う抹茶発見

ロースト抹茶500円(左上)、ロースト抹茶を使ったバスクチーズケーキ500円(手前)、羊羹(ようかん)360円。
ロースト抹茶500円(左上)、ロースト抹茶を使ったバスクチーズケーキ500円(手前)、羊羹(ようかん)360円。
「スイーツも充実しています」とスタッフの井口佳名さん。
「スイーツも充実しています」とスタッフの井口佳名さん。

看板商品は抹茶の原料・碾茶(てんちゃ)を焙煎し、石臼碾きにした“ロースト抹茶”。抹茶本来の風味を生かしつつ、焙煎の香味でさらにまろやかな旨味とコクが楽しめる。老舗組紐店の離れを改装した和モダンな店内には心地いい時間が流れる。

☎0774-34-1125
10:00~17:00LO、不定休
京都府宇治市宇治妙楽146
JR奈良線宇治駅から徒歩6分

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宇治駅→名古屋駅 まだまだお茶を求めて、滋賀県大津まで

大津駅から琵琶湖まで徒歩15分。穏やかな水面に水鳥が舞う光景を旅の思い出に。
大津駅から琵琶湖まで徒歩15分。穏やかな水面に水鳥が舞う光景を旅の思い出に。
琵琶湖の近くには、レトロ建築の『旧大津公会堂』があり、京阪電車が走る。
琵琶湖の近くには、レトロ建築の『旧大津公会堂』があり、京阪電車が走る。

旅の終わりは大津駅にある『中川誠盛堂(せいせいどう)茶舗』へ。実は大津は日本茶の祖といわれるところで、「最澄が延暦24年(805)に中国から持ち帰った茶種を大津の里に蒔かれ、育った茶樹がいまも残っています」。そう話す5代目店主の中川武さんのお茶にまつわる話は興趣が尽きず、差し出された煎茶のおいしさがまたお茶をめぐる旅を格別のものにしてくれる。

【大津駅】『中川誠盛堂茶舗』貴重な銘柄が勢ぞろい。日本茶の祖を訪ねる

「生産者や栽培法にこだわるため、単一品種茶葉のみを扱っています。ぜひ本物の味にふれてください」と、5代目店主の中川武さん(中央)。
「生産者や栽培法にこだわるため、単一品種茶葉のみを扱っています。ぜひ本物の味にふれてください」と、5代目店主の中川武さん(中央)。

安政5年(1858)創業という歴史ある茶舗で、取り扱うのは煎茶だけでも100種類以上。最澄が植えたとされる幻の銘茶「日吉茶園」をはじめ、近江三大産地の朝宮、土山、政所(まんどころ)のお茶など、この店でのみ手に入るものも多数。

☎077-522-2555
9:00~19:00、不定休
滋賀県大津市中央3-1-35
JR東海道本線大津駅から徒歩5分

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取材・文・撮影=野上知子
『旅の手帖』2024年7月号より

岐阜から富山まで、民藝を存分に味わうよくばり旅。民藝運動の創始者・柳宗悦(むねよし)が感銘を受けた砺波(となみ)地方ではその面影を探し、民藝美に満ちた空間で宿泊する贅沢も!
今年の夏も暑い! ならばと、JRの最高地点をゆく小海線をはじめ、標高の高い路線と車窓風景に高い山々が現れ、風景からも涼を感じられる猛暑エスケープの旅へ。
群馬県北西部の渋川~大前間を結ぶ吾妻(あがつま)線は、草津、万座、四万(しま)をはじめ、沿線には20以上の温泉が湧く湯の路線。なかでも温泉ツウ垂涎(すいぜん)の秘湯と噂される、尻焼(しりやき)&沢渡(さわたり)の2湯をメインに、川原湯&四万にも足を延ばす湯めぐり旅に出発!
鉄道だとお酒が飲めるので、のんべえにはうってつけ。栃木に、なにやらおもしろい酒蔵があるという。日帰りで、地酒をたんまり楽しむ“呑み鉄”の旅に出発~!
地元の通勤通学客のように各駅停車に揺られ、小さな駅で降りてみる。港町の食堂、街角の総菜店、地の物が集まる市場。地元人の日常は、旅人にとっては新鮮な体験だ。旅といえば“非日常”だけど、いつもと“異なる”日常を体験する旅へ。海から山、また海へと、山陽をぐるりとローカル線で。
自転車で琵琶湖を一周する“ビワイチ”ならぬ、鉄道で琵琶湖を一周するテツ“ビワイチ”なんていうのがあるらしい。滋賀県を東西南北ぐるりと一周すれば、日本一の湖沿いで培われてきた歴史や文化が見えてくる。
日本最後の清流と謳われる四万十川(しまんとがわ)。その流域を走る予土(よど)線は沿線の人々の暮らしを支えつつ、ラッピング列車などアミューズメント要素もある、地元にも鉄道ファンにも愛されるローカル線だ。そこには美しい日本の原風景と、温かい人々との出会いがあった。
およそ1万5000年前から2000年前。森や海、川などで食料を確保し、1万年以上も定住生活を続けた日本の縄文時代は、世界的に見てもユニークな文化。「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、そんな縄文人の生活と精神文化が伝わる貴重な遺跡として、2021年に世界文化遺産に登録された。その一部の遺跡をめぐってきた。