全国のJR線の快速・普通列車が乗り降り自由となる「青春18きっぷ(以下18きっぷ)」。知っておきたい使い方のキホンのキからお得な使い方、さらに旅の可能性を広げるトクトクきっぷとの組み合わせまでを徹底ガイド。18きっぷを使って、この夏をもっともっと楽しもう!

「大阪発日帰り、“テツ”ビワイチの旅」のルートはこちら

【日帰り】
大阪駅→東海道本線・北陸本線・湖西線・東海道本線→大阪駅

大阪駅→高月駅 琵琶湖&観音さまと湖畔のつながりを感じる

琵琶湖の周囲を自転車で一周する“ビワイチ”。東海道本線と湖西線を乗り継いで、テツ“ビワイチ”でのんびり行こう。

草津で下車し、『琵琶湖博物館』へ。400万年もの長い月日をかけて受け継がれた、貴重な水環境をじっくり観賞。展示室を抜けたら、五感を使って楽しめるディスカバリールームへ。大人は顕微鏡と標本を手に学者気分、子どもは大きなハサミを操って、ザリガニ気分を満喫!

続いて高月へ。北陸、東海、関西の文化が行き交う土地で、白山(はくさん)信仰、奈良仏教、比叡山信仰の影響のもと展開した独自の観音信仰が根づく。

観音像は田植えの時期には田んぼに連れ出され、仕事中の大人に代わって子どもの遊び相手をしたとか。住民との間には、親しく特別なご縁があるそうだ。

米原に到着する直前、鉄道総合技術研究所に保存される3台の新幹線高速試験車両が出現。
米原に到着する直前、鉄道総合技術研究所に保存される3台の新幹線高速試験車両が出現。

【草津駅】『琵琶湖博物館』400万年の歴史の旅へ

透明なアクリルのトンネル水槽では、湖の生態系をあらゆる角度から見ることができる。
透明なアクリルのトンネル水槽では、湖の生態系をあらゆる角度から見ることができる。
滋賀県の県の鳥である、カイツブリの姿も。
滋賀県の県の鳥である、カイツブリの姿も。

琵琶湖に突き出す烏丸(からすま)半島に立つ「湖と人間」がテーマの博物館。湖畔にゾウがいた時代から湖の漁の様子まで、各時代の湖について体系的に学べる。世界の古代湖を紹介した水槽では、かわいいバイカルアザラシも元気に泳ぐ。

☎077-568-4811
9:30~16:00受付、月休(祝の場合は開館。臨時休あり)。800円
滋賀県草津市下物町1091
JR東海道本線草津駅からバス25分の琵琶湖博物館下車すぐ

【野洲駅】『BIWAKO DAUGHTERS(ビワコ ドーターズ)』湖魚の新しい食べ方を提案

塩漬けした湖魚と米を漬け込み、発酵させて食べる滋賀県の郷土料理・鮒(ふな)ずし。ふなずしサンドは、チーズと自家製鮒ずしが相性抜群で、ワインのおともにぴったり(JR東海道本線野洲駅から車19分)。
塩漬けした湖魚と米を漬け込み、発酵させて食べる滋賀県の郷土料理・鮒(ふな)ずし。ふなずしサンドは、チーズと自家製鮒ずしが相性抜群で、ワインのおともにぴったり(JR東海道本線野洲駅から車19分)。

【高月駅】『高月観音の里歴史民俗資料館』集落と観音さまとの親密なご縁

湖北で住民に大切に守られてきた観音像。資料館では仏像・神像を見られるほか、湖北の信仰文化について知ることができる。ここを起点に、周囲に点在する各寺の観音像に会いに行こう。拝観時間、料金は寺により異なる。

☎0749-85-2273
9:00~16:30受付、火と祝の翌日休。300円
滋賀県長浜市高月町渡岸寺229
JR北陸本線高月駅から徒歩10分

国宝に指定される、向源寺の十一面観音立像。柔和な表情と腰をひねった優美な姿が美しい。
国宝に指定される、向源寺の十一面観音立像。柔和な表情と腰をひねった優美な姿が美しい。
正妙寺の千手千足観音立像。全国的にも珍しい千足をもつ姿で、仏像マニアからの人気も高い。拝観は各寺まで要問い合わせ。
正妙寺の千手千足観音立像。全国的にも珍しい千足をもつ姿で、仏像マニアからの人気も高い。拝観は各寺まで要問い合わせ。
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高月駅→大阪駅 宿場町で発見! 滋賀のご当地パン

桜の名所として知られる海津。家々と湖の距離がこんなに近い! マキノ駅から車10分。
桜の名所として知られる海津。家々と湖の距離がこんなに近い! マキノ駅から車10分。
湖西線 北小松~近江高島間の車窓には琵琶湖が。天気がよければ竹生島(ちくぶじま)も見える(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。
湖西線 北小松~近江高島間の車窓には琵琶湖が。天気がよければ竹生島(ちくぶじま)も見える(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。

木ノ本では滋賀名物のサラダパンを手に、宿場町を散策。江戸~明治時代の面影を残す美しい町並みは、国や県からの指定を受けて保護されているわけではない。「古い建物も大切だけれど、ここは生活がある町だから。自分たちの手で直しながら守っていきたいですね」と『つるやパン』の西村豊弘さん。琵琶湖沿いで連綿と続く思いを感じながら、いよいよ湖を望む湖西線へと乗り込んだ。

【木ノ本駅】『つるやパン』ご当地パンは宿場町の知恵の結晶

滋賀のご当地パン・サラダパン。当初は近所の薬局から「キャベジンが健康にいいらしい」とアドバイスを受け、原料のキャベツを挟んでいたことからこの名前に。
滋賀のご当地パン・サラダパン。当初は近所の薬局から「キャベジンが健康にいいらしい」とアドバイスを受け、原料のキャベツを挟んでいたことからこの名前に。
「地元民のイチオシ、魚肉ソーセージ入りのサンドウィッチもぜひ試して!」と、店主の西村さん。
「地元民のイチオシ、魚肉ソーセージ入りのサンドウィッチもぜひ試して!」と、店主の西村さん。

1951年創業。地元住民のアイデアから生まれたロングセラーをはじめ、バラエティー豊かなパンがずらり。2024年3月からは『江北図書館』横でカフェをオープン。ここでしか食べられない限定のパンも見逃せない。

☎0749-82-3162
8:00~18:00(日・祝日は9:00~17:00)、無休(臨時休あり)
滋賀県長浜市木之本町木之本1105
JR北陸本線木ノ本駅から徒歩7分

創設120年の『江北図書館』は滋賀県最古。私設の図書館で、地元民の手で守られてきた。木ノ本駅下車すぐ。
創設120年の『江北図書館』は滋賀県最古。私設の図書館で、地元民の手で守られてきた。木ノ本駅下車すぐ。
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取材・文・撮影=本誌編集部
『旅の手帖』2024年7月号より

地元の通勤通学客のように各駅停車に揺られ、小さな駅で降りてみる。港町の食堂、街角の総菜店、地の物が集まる市場。地元人の日常は、旅人にとっては新鮮な体験だ。旅といえば“非日常”だけど、いつもと“異なる”日常を体験する旅へ。海から山、また海へと、山陽をぐるりとローカル線で。
日本茶といえばの宇治をはじめ、歴史あるお茶の名産地が勢ぞろいの京都府南部と滋賀県へ。暑い夏は、すっきり爽やかお茶づくしの旅に出かけましょう。
岐阜から富山まで、民藝を存分に味わうよくばり旅。民藝運動の創始者・柳宗悦(むねよし)が感銘を受けた砺波(となみ)地方ではその面影を探し、民藝美に満ちた空間で宿泊する贅沢も!
群馬県北西部の渋川~大前間を結ぶ吾妻(あがつま)線は、草津、万座、四万(しま)をはじめ、沿線には20以上の温泉が湧く湯の路線。なかでも温泉ツウ垂涎(すいぜん)の秘湯と噂される、尻焼(しりやき)&沢渡(さわたり)の2湯をメインに、川原湯&四万にも足を延ばす湯めぐり旅に出発!
今年の夏も暑い! ならばと、JRの最高地点をゆく小海線をはじめ、標高の高い路線と車窓風景に高い山々が現れ、風景からも涼を感じられる猛暑エスケープの旅へ。
鉄道だとお酒が飲めるので、のんべえにはうってつけ。栃木に、なにやらおもしろい酒蔵があるという。日帰りで、地酒をたんまり楽しむ“呑み鉄”の旅に出発~!