当然だけど、叔母の人生は、昭和初期から平成、令和に渡る。戦後の混乱の中、彼女は、幼いとき家族と共に外地から広島にもどり育った。

学業を終えた後、結婚して2人の子供を巣立たせ、夫の仕事を手伝い、ギャラリーを開く傍ら野菜作りもしてきた。

毎朝、窓を開け放すと、なだらかな山々、畑、木立が一度に望める風景を眺めながら、朝食を食べる。

ご近所のパン屋が焼いた食パン、塩こうじに地元の野菜を揉みこみ、豆類をトッピングしたサラダ、庭に育ったブルーベリーと柿を添えたヨーグルト、半熟の卵、塩こうじ漬けの鶏肉のハム、広島の寿屋珈琲のコーヒー。

風光明媚な里山が望めるけれど、車なしではスーパーやコンビニには行けない。カフェや喫茶店のモーニングを食べるためには、車で小1時間かかる。

そんな地に住む叔母は、長年パン党で塩こうじの大ファン、一日のうち朝食にもっとも力が入るのだ。