蕎楽亭

製粉したての地粉の香りにただ恍惚

牡蠣(かき)うどん2200円。厚岸産ほかクリーミーなカキを半生で。磯と大地(小麦)の風味が美しい和音を奏でる。

ここの凄みは、そばだけでなくうどんの小麦粉も自家製粉するところ。上州の「さとのそら」という銘柄の原麦を製粉し、同じく上州「つるぴかり」とブレンドして喉ごしをプラス。「自家製粉だと、ふすま(小麦の表皮部分)をたくさん入れられて、甘さと香りがたつ麺になる。製粉時は店がパン屋みたいな香りになるよ」と店主・長谷川健二さん。和服美人のように細めで艶やかに光る麺を啜れば、小麦のフレッシュな風味にうっとり。

生きた状態で揚げるサイマキエビなどが付く天ざる2640円。鰹本節や真昆布など出汁の風味も◎。
原麦をもつ店主・長谷川さん。
カウンター席で地酒もオツ。

『蕎楽亭』店舗詳細

住所:東京都新宿区神楽坂3-6 神楽坂館1F/営業時間:11:30~14:30LO(月・祝の翌日は昼休)・17:00~20:30LO ※変更する場合もあり。/定休日:祝・不定(月もしくは日)/アクセス:JR・地下鉄飯田橋駅から徒歩5分

讃岐うどん いわい

毎日食べたい優しい300円うどん

出汁の風味も味わいたい、ひやあつうどん並300円。丸々1本のちくわ天100円は揚げたてで提供。うどん大盛りは400円均一。

「香川のうどん屋約900軒のなかでも、水回し(小麦粉に加水しこねる作業)から手作業で打ってる『宮武』のうどんに惚れてしまって」と主人の岩井佑介さん。同店で修業した主人が打つ麺はもっちりしなやかで、麺を冷水でしめ熱いツユをかける“ひやあつ”で味わえばコシも増して絶妙食感に。たっぷりのいりこや利尻昆布などでとるダシは食べ飽きない優しい味わい。「うどんは日常食。値段も味も毎日食べやすいものを心がけてます」。

小麦の甘みや風味を感じるなら、つけ汁で味わう湯だめうどん300円。こちらも冷水でしめ、麺のコシをプラス。
店主の岩井さん。

『讃岐うどん いわい』店舗詳細

住所:東京都北区上十条3-28-7/営業時間:11:00~14:30・17:30~21:00(日は10:00~15:00のみ)/定休日:月/アクセス:JR埼京線十条駅から徒歩5分

志な乃

晩秋の体を温める幸せけんちん

ニンジンやゴボウがカレーの具サイズで入るけんちんうどん1200円は蕎楽亭店主もお気に入り。

30年以上続く老舗の看板は、けんちんうどん。「朝から里芋なんかの皮をむいてさ、ゴマ油をひいた鉄鍋で炒めて。そっから鰹節をダーッと入れてじっくり煮込む。だからウチのは具が大きくても味が染みてるの」と女将の恵子さん。具材がゴロゴロ入った白味噌の濃厚ツユは、豪快ながら懐かしい味わいで店主夫婦の人柄のよう。そこに主人・正男さんが打った細めでコシのある麺が絡めば、益子焼の巨大丼も一気呵成に完食!

とろろうどん1250円で透明感がありやや平打ち、やわらかな粘りがある麺の喉ごしを堪能。稲庭の麺に近い食感。

『志な乃』店舗詳細

住所:東京都墨田区業平3-11-4 MSビル2F/営業時間:11:00~14:30・17:00~20:00(日・祝は昼のみ)※変更する場合もあり。/定休日:水/アクセス:JR・私鉄・地下鉄押上駅から徒歩1分

手打ちうどん長谷川

麺の求道者がつむぐ新・武蔵野物語

糧うどん 冷もり836円。紅芋を使った麺の紅白で、かつてハレの日に食べた武蔵野のうどんを表現。

「一推しメニューを聞かれてもみんな自分の子みたいなもんだから……」とうどん愛を語る店主・長谷川匡俊さん。地粉の農林61号で打った麺を見ると、表面に茶色い粒々が!「ローストしたふすまを入れてるから。ミネラル豊富で香りも高くなるんです」。早速麺を啜れば、小麦の優しい香りは武蔵野風ながら、つるっとした食感は讃岐のよう。「香川の粉もブレンドしてます。武蔵野に讃岐のいいとこを足したうどんが自分の理想ですね」。

紀州の梅肉、とろろ昆布やおかかなどをトッピングした梅昆布うどん891円。旨味や酸味、ツユの甘みの多重奏。
丁寧に1本ずつ麺に触れて茹で具合を確かめ、美しく盛る。
地酒も充実。

『手打ちうどん長谷川』店舗詳細

住所:東京都練馬区東大泉4-3-18-102/営業時間:11:30~14:30・18:00~20:30(麺切れ次第終了)※変更する場合もあり。/定休日:月・第1火(祝の場合は翌日)/アクセス:西武鉄道池袋線大泉学園駅から徒歩すぐ

かれんど

「京の出汁とカリーが結婚した味や」

あんかけカリーうどん850円。

昭和60年、店主・鈴木寿彦さんは商社マン時代に本場のスパイスや料理に触れ“本物のカリー”を伝えるべく開業。「10年経った頃、白い神様が店の中をふわ~っと通ってな、カリーうどんを作ってみたらって囁(ささや)いたんや」。実は鈴木さんは京都の料理旅館の生まれ。透明感のある京風の出汁をなじみ深いあんかけにし、自慢のカリーと合わせることに。たっぷりのショウガ、桜エビ、鰹節からも味が染み出し、オンリーワンの一杯が完成だ。

上品な出汁とスパイスの芳香が融合。ミニライス付き。
壁には使用しているスパイスの解説などが貼られ、待つ間も楽しい。

『かれんど』店舗詳細

住所:東京都調布市布田1-43-3 オリエントマンション1F /営業時間:12:00~23:30LO ※変更する場合もあり。/定休日:日/アクセス:京王電鉄京王線調布駅から徒歩2分

やるき

やるきトニーさん、おかわりもう一杯!

カレー焼きうどん660円。

インド・ニューデリー出身、気軽なやすらぎ処『やるき茶屋』で経験を積んだトニーさんが営む居酒屋。おでん、モツ煮といった定番つまみも、ここではスパイス香る魅惑の味わいに変身。焼きうどんもしかり。うどん専用に調合した約10種のパウダースパイスと、手製の鶏挽き肉入りのカレーペーストを投入。額に汗がにじみだすほどのシャープな辛さが、ビールを加速させる。そして訪れる爽快な疾走感。

お客のリクエストに応えるうち、チリペッパーが増量。辛さは調節可能。
店主の目が行き届く、アットホームな店内。スパイスの芳香で満ちる。

『やるき』店舗詳細

住所:東京都中野区本町4-36-7/営業時間:11:30~14:00・17:00~23:00(月・祝は夜のみ)、土16:00~22:00 ※コロナで時短営業中のため、平日の夜(月を除く)・土16:00~20:00、月・祝17:00~20:00/定休日:日/アクセス:地下鉄丸ノ内線新中野駅から徒歩5分

お山のすぎの子

「精鋭のトッピング揃いです」

とんカレーうどん1100円。

手打ちうどん、北海道・日高の昆布と四国直送のいりこをきかせたダシが評判。創業30年超、「いろいろ試して、合う物のみ残してます」と2代目が語るカレーうどんのラインナップは、モチ、かき揚げ、エビフライ……など独創的な全7種。なかでも、揚げたてサクサクのトンカツ、シャキシャキの千切りキャベツをのせたとんカレーうどんは、コシのあるうどんとの対比が楽しい。濃厚なカレーがひたひたしみていくのも、これまたよい具合。

うどんは1日寝かせてコシを生む。カレーは3種のルーをブレンドして濃厚に。
40席以上の奥行きある空間。

『お山のすぎの子』店舗詳細

住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-34-11/営業時間:11:00~22:00/定休日:不定/アクセス:東急電鉄東急田園都市線・世田谷線三軒茶屋駅から徒歩4分

取材・文=鈴木健太、沼由美子 撮影=加藤昌人、オカダタカオ