ZOZOI

かつて街にいた芸術家の気配を感じる

公園の緑が借景となり、店内を彩る。

「この建物のオーナーと池袋モンパルナスの話題で盛り上がったのが、カフェを開店することになったきっかけ」と店主の皆川まり子さん。パリの専門学校で学んだ室内装飾の技術を生かし、自身で店の内装を手掛けた。壁には皆川さんの旧友である画家の絵が掛けられ、店内の本は閲覧自由。ああ! 今日は一人、絵に集中して想像を広げたり、季節の食材で工夫を凝らしたケーキを食べ、五感をフル稼働して味わったり、なんという充実感。今度はアート好きの友達を連れて来よう。

店はビルの1階と2階で、2階にはゆったりしたテーブル席も。
バナナタルト バニラアイス添え700円。自家製レモンジンジャー700円はケーキとセットで50円引きに。
絵は1階に。

『ZOZOI』店舗詳細

住所:東京都豊島区西池袋3-22-6 奴田原ビル1·2F/営業時間:12:00~18:00(月は~17:30)/定休日:火(祝の場合は翌水)/アクセス:JR· 私鉄· 地下鉄池袋駅から徒歩2分

KAKULULU

緩さと刺激が絶妙に混ざり合う

この日は角銅真実さん、中村大史さん、巌裕美子さん、幸洋子さんによるライブ。

奏でられた音が店内の空気とすっとなじみ、心地よく響く。都心にありながらどこか牧歌的なのは、繁華街から外れているからだろうか。ライブは月1、2回開催され、店主の高橋悠さんと親交の深いジャズミュージシャンが登場。店は1階と2階がカフェで、地下はギャラリーになっている。高橋さんが10代だった2000年ごろ、東京はカフェブームだった。「当時は専門店が少なく、音楽、アート、雑貨などいろんなものが詰まっているのがカフェでした」。そんな時代に刺激を受けた高橋さんが、自分の店を持つことになり、選んだ場所は、池袋。実家が近いのもあるが、土地が醸しだす独特の緩さも選んだ理由の一つだとか。「渋谷や青山だとトレンドがあり、最初にコンセプトを固めないといけません。それに比べて池袋は、やりながら考えられる」。なるほど。この店のホッとできる雰囲気も、雑多ゆえ許容範囲の広い池袋ならではなのかも。

ランチのムケッカはドリンク付き1200円。高橋さんがブラジルで食べた味を再現した。
高橋さん(左)は元ミュージシャン。
CDの販売も。

『KAKULULU』店舗詳細

住所:東京都豊島区東池袋4-29-6三角ビルB1 ~ 2F/営業時間:11:30~23:00(火·水は~17:00)/定休日:日·月·祝/アクセス:地下鉄有楽町線東池袋駅から徒歩4分

シーナと一平

ツーリストとローカルの人間交差点

『cache cache』の桜井亜弓さん。酒蔵やワイナリーにも自ら足を運ぶ。

シーナさんと一平さんがやっているから……ではなく椎名町にあり、元々「とんかつ一平支店」だったというのが、その名の由来。個人店が連なる昭和風情の商店街に位置し、看板はそのままに築45年以上の商家をゲストハウス兼シェアキッチンに改装した。シェアキッチンは菓子工房としても機能し、若手パティシエの挑戦の場にも。「トキワ荘の存在も影響してか、この街には、よそからやってきた若者や新しいことを始める人を応援する気質があります」と、シェアキッチンをプロデュースする鈴木英嗣さん。カフェ営業の日、小上がりでは大人も子供も、旅行者も地域住民も共にくつろいでいるとか。金〜日曜は、旬の果実を生かしたデザートが評判の『cachecache(カシュカシュ)』が登板。生産者の思いも汲み、素材の持ち味を引き出すのが得意だ。日本酒や国産ワインとのペアリングも見事で、うっとりほろ酔い。つい饒舌になり、話も盛り上がる。

腰窓で焼き菓子の販売も。
清見オレンジのスペシャルデザート605円。香りのいい日本酒サワー583円と合わせると、ひと味違った個性が花開く。

『シーナと一平』店舗詳細

住所:東京都豊島区長崎2-12-4/営業時間:『cache cache』は金の13:00~18:00、土·日の 12:00~18:00のみ営業。カフェ営業日、宿泊料金などは公式HPを確認。/アクセス:西武池袋線椎名町駅から徒歩4分

取材・文=信藤舞子 撮影=金井塚太郎
『散歩の達人』2020年5月号より