大人なら知っておきたい小粋な店『卯佐』[神保町]

酒がすすむ自家製からすみ1400 円。
酒がすすむ自家製からすみ1400 円。

路地裏にあってわかりにくいが、主人の優しい人柄と洗練された料理が評判で連日満席。主人・齋藤良さんは、葉山の名店「日影茶屋」で修業した後、地元の神保町に戻って店を開いた。旬の味を大切にしたいというだけあり、常時10種類ある純米、純米吟醸酒、純米大吟醸酒1杯各900円~にも季節替わりの銘柄が並ぶ。これからの季節のおすすめは、松茸土瓶蒸し1500円前後をはじめとする料理だ。酒の締めは鯛茶漬け1000円で決まり。

主人の齋藤良さんとスタッフの横手さん。
主人の齋藤良さんとスタッフの横手さん。
4鯛茶漬けは、最初は刺し身で、ご飯が半分ほどになったら煎茶を注いでお茶漬けで。
4鯛茶漬けは、最初は刺し身で、ご飯が半分ほどになったら煎茶を注いでお茶漬けで。
カウンター10席の小さな店。
カウンター10席の小さな店。

『卯佐』店舗詳細

住所:千代田区神田神保町2-16-2/営業時間:18:00~22:30/定休日:土・日・祝/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩2分

沖縄の方言で“熱々”『東京アチコーコー』[神保町]

にんじんシリシリ500円、小野さんが育てた季節野菜を使った料理も。
にんじんシリシリ500円、小野さんが育てた季節野菜を使った料理も。

“アチコーコー”とは沖縄の方言で“熱々”や “ほかほか”を意味する。そんな店名のこちらでいただきたいのは、やはりあったかいデミグラス煮込み。国産の牛すじを2日間煮込み、トマトを加えて爽やかに仕上げた定番の人気メニューだ。「赤ワインもいいけれど泡盛の古酒もおすすめです」と女主人の小野薫さん。樫樽熟成した「暖流」と合わせると、肉の旨味と重なってより味わいが深くなる。豊潤な後引く余韻もたまらない。

牛すじのデミグラス煮込み(パン付き)1000円には暖流・熟成古酒600円をロックで。
牛すじのデミグラス煮込み(パン付き)1000円には暖流・熟成古酒600円をロックで。
店主の小野さん。
店主の小野さん。

『東京アチコーコー』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-38 1F/営業時間:17:00~22:30LO/定休日:日・祝/アクセス:JR・地下鉄御茶ノ水駅から徒歩8分

自然派ワインと愛媛の恵みの愉快な共演『ワイン食堂 ChatGatto』[神保町]

大三島産の夏鹿のロースト2500円。秋以降はイノシシが登場予定。野菜の持ち味を活かした総菜盛り合わせ900円もワインが進む。グラスワインは900円~。
大三島産の夏鹿のロースト2500円。秋以降はイノシシが登場予定。野菜の持ち味を活かした総菜盛り合わせ900円もワインが進む。グラスワインは900円~。

愛媛の肉・魚・野菜を用い、店主の薄田貴志さんがイタリアン、妻の宜子さんがフレンチを作る。「やりたいことをやってるだけなんです」と貴志さんは笑うが、実に贅沢だ。のびのび生み出される2人の料理に合わせるのは、食事に寄り添う自然派ワイン。イタリアのダミアン「リボッラ・ジャッラ」は果実味がまろやかで、夏鹿の香りや旨味を邪魔せずスーッと体になじんでいく。あぁ幸せ……。

手打ちパスタに使う小麦粉や卵もトマトラグーのひき肉も愛媛産。
手打ちパスタに使う小麦粉や卵もトマトラグーのひき肉も愛媛産。
店名でもある猫のモチーフがあちこちに。
店名でもある猫のモチーフがあちこちに。
宜子さんはソムリエでパン作りも担当。
宜子さんはソムリエでパン作りも担当。
路地にひっそりと立つ。
路地にひっそりと立つ。

『ワイン食堂 ChatGatto』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-54-19/営業時間:17:00~24:00/定休日:不定/アクセス:地下鉄半蔵門線・三田線神保町駅から徒歩3分

バーガーとヘイジーIPAへの愛が爆発!『folk burgers & beers』[神保町]

フォーキースモーキーベーコンチーズ1815円は、ビーフパティを炭火で焼くので香ばしい。うちゅうブルーイング1100円~の銘柄も随時入れ替わる。
フォーキースモーキーベーコンチーズ1815円は、ビーフパティを炭火で焼くので香ばしい。うちゅうブルーイング1100円~の銘柄も随時入れ替わる。

メニューに並ぶビールのほとんどが、ヘイジー IPAと呼ばれる濁り系。口に含んだときのホップの爽やかさは衝撃的だ。これと、プルドビーフの旨味たっぷりのバーべキューソースが絡んだパテのハンバーガーが見事に相性抜群! 「僕の好みなんです」と店主の髙野和彦さんは笑うが、自らが飲んでおいしいと確信したものを揃えているだけある。業界大注目の「うちゅうブルーイング」が樽生で飲めるのも貴重!

店内に並ぶ缶やボトルは、アメリカ西海岸のクラフトビールも多数。
店内に並ぶ缶やボトルは、アメリカ西海岸のクラフトビールも多数。
常時5~6タップあり、うち1種はうちゅうブルーイング。
常時5~6タップあり、うち1種はうちゅうブルーイング。
笑顔がまぶしい髙野さん。
笑顔がまぶしい髙野さん。
落ち着いた雰囲気。
落ち着いた雰囲気。

『folk burgers & beers』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町2-8-1 レフィール神保町101/営業時間:11:30~22:00/定休日:月(祝の場合は翌火)/アクセス:地下鉄半蔵門線・三田線神保町駅から徒歩2分

九州の焼酎は都内随一の品揃え『地鶏と焼酎 とりちゅう』[水道橋]

二度揚げで皮をカリッと仕上げた若鶏漬け南蛮ダブル748円、自家製の漬けアボカド385円、八丈島の芋焼酎・「情け嶋」429円。
二度揚げで皮をカリッと仕上げた若鶏漬け南蛮ダブル748円、自家製の漬けアボカド385円、八丈島の芋焼酎・「情け嶋」429円。

入り口付近の壁一面に並ぶ焼酎のボトルは、九州を中心に約250種類! 再び焼酎界を盛り上げるべく、鹿児島の名酒販店『コセド酒店』とタッグを組んだことで、稀少な銘柄が揃うのも強みだ。店主の佐藤将さんが「焼酎は身近な酒なんです」と言うように、グラス429円~なのもうれしい。焼酎に合うさつま知覧どりの黒焼きや宮崎名物の若鶏漬け南蛮なども揃い、心ゆくまで焼酎の世界を堪能できる。

さつま知覧どりのもも肉とむね肉の2種黒焼き858円(並)。
さつま知覧どりのもも肉とむね肉の2種黒焼き858円(並)。
黒焼きは炭火で一気に仕上げる。
黒焼きは炭火で一気に仕上げる。
店主の佐藤さん。メニューにのっていない焼酎も多いので、気軽に相談を。
店主の佐藤さん。メニューにのっていない焼酎も多いので、気軽に相談を。
開店してすぐに常連客がついた。
開店してすぐに常連客がついた。

『地鶏と焼酎 とりちゅう』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田三崎町2-13-6/営業時間:11:30~14:30LO・17:00~22:00LO/定休日:無/アクセス:JR・地下鉄水道橋駅から徒歩2分

一刻者だった初代の残り香もまた酒肴『兵六』[神保町]

中に主が座るカウンター。
中に主が座るカウンター。

飲み方を心得た常連たちは酩酊しすぎず、背筋がピン。「薩摩武士を思わせる、粋なお客さんが集うのが兵六だと思います」とは柔和な3代目店主の柴山真人さん。今は水やお湯も付けるが、鹿児島出身の頑固だった初代のころは「米焼酎は冷やして氷なし、芋焼酎はお燗。基本ストレート」で出すのが兵六流だった。炒豆腐やきびなご丸干しと一緒にじっくり味わいたい。

さつま無双770円など。上海に留学経験をもつ初代が品書きに加えた炒豆腐660円もおすすめ。
さつま無双770円など。上海に留学経験をもつ初代が品書きに加えた炒豆腐660円もおすすめ。
大提灯が目印。
大提灯が目印。

『兵六』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-3/営業時間:17:00~ 22:30/定休日:土・日・祝/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩2分

100年超の歴史を刻む大衆酒場の殿堂『みますや』[神田]

開店と同時に満席になることも多い。
開店と同時に満席になることも多い。

明治38年(1905)創業。現存する店では日本最古といわれる居酒屋。現在の建物は戦火を免れた昭和3年(1928)に建てられた看板建築だ。縄のれんをくぐって店内に入れば、畳敷きの小上がりと一枚板のテーブル席があり、黒光りした壁や天井が歴史を物語る。老舗ではあるが、無料のお通しをはじめ、まぐろさしみ650円、焼きとり3本550円など、料理も価格も庶民的。これからの季節なら柳川なべや牛煮込み650円を肴に、「白鷹」の燗酒1合450円を味わうのもいい。

ここでは時の歩みも「ゆっくり」。
ここでは時の歩みも「ゆっくり」。
縄のれんの向こうに昭和の匂いふんぷんの酒場が待つ。
縄のれんの向こうに昭和の匂いふんぷんの酒場が待つ。
さくらさしみ(馬肉) 1400円、さしみ盛合せ1850円、柳川なべ1050円。
さくらさしみ(馬肉) 1400円、さしみ盛合せ1850円、柳川なべ1050円。

『みますや』店舗詳細

住所:千代田区神田司町2-15-2/営業時間:11:30~13:30LO、17:00~22:20LO(土は~21:20LO、昼営業無し)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄丸ノ内線淡路町駅から徒歩3分

おでんの味を守るのは気っ風のよい女将『尾張屋』[神田]

おでん鍋を仕切るのは女将の長江操さん。
おでん鍋を仕切るのは女将の長江操さん。

昭和2年(1927)創業。かつお節、昆布、煮干しで出汁をとり、白醤油と淡口醤油で味を調えたおでんはやや薄味で、そのぶん素材の持ち味が引き出される。合びき肉や玉ねぎ、長ねぎ、卵などが入ったロールキャベツ400円、特注のがんもや厚揚げ、大きめに切った大根各300円など、おでんは常時30種類以上。おでんと並ぶ二枚看板が、「白身魚に自信あり」と、3代目主人が語る刺し身。日本酒は「大関」1本450円、ビール大瓶700円と庶民派価格だ。※価格はすべて税別

おでん(写真は700円)、天然アナゴを使ったあなごの煮こごり700円、刺身盛り合わせ (2人前)4500円前後。
おでん(写真は700円)、天然アナゴを使ったあなごの煮こごり700円、刺身盛り合わせ (2人前)4500円前後。
白いのれんと赤提灯が風情を感じさせる。
白いのれんと赤提灯が風情を感じさせる。

『尾張屋』店舗詳細

旨いカレーに隠されたマスターの生き様『葡萄舎』[神田]

放浪時代を彷彿させるマスターの風貌。
放浪時代を彷彿させるマスターの風貌。

マスターの池田賢一さんは、若いころ放浪の旅の途中でマラリアにかかった。その時に食べたのが南インドのベジタリアン中心の定食、ミールス料理。それがメニューにも生かされている。1980年代に、ワインバーとして開店したが、カレーの味が評判になり、やがて、昼はカレーランチ750円~、夜はカレーのほか、にこごりや刺し身などのつまみも楽しめるバーになった。天然木のテーブルを配置した、ゆったりと居心地のよい店内にも、マスターの人柄がにじみ出ている。

黒板にはその日のおすすめが。
黒板にはその日のおすすめが。
パプリカとナス、オクラとムングダルなどカレー 2品とフランスパンのセットは864円~、ゴーヤとチラガー炒め864円。
パプリカとナス、オクラとムングダルなどカレー 2品とフランスパンのセットは864円~、ゴーヤとチラガー炒め864円。

『葡萄舎』店舗詳細

住所:千代田区神田鍛冶町1-3-10 松栄ビル5F/営業時間:11:30~13:30、17:00~22:00LO/定休日:日・祝(土は夜のみ)/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩3分

日本酒好きが聖地とたたえる名店『かんだ光壽』[神田]

お通しは一汁八菜1408円。これだけでも十分なボリュームだ。
お通しは一汁八菜1408円。これだけでも十分なボリュームだ。

常時30種類ほどある日本酒は、オーナー自らが全国の酒蔵を訪ねて選んだもの。品揃えは純米吟醸以上で、なかにはこの店のためだけに搾った酒(高知県の南75ml 605円~)や、現地でしか入手できない酒など、レアなものも多い。旬の魚介料理、赤身の生馬刺し1628円、じゃが芋塩辛バケット付968円など、料理もバラエティ豊か。酒蔵から寄贈された小道具を飾った店内にはJAZZが流れ、まさに大人の居酒屋。予約必須の超人気店なのである。

日本酒はショット75ml、150mlなど。
日本酒はショット75ml、150mlなど。
合鴨のたたき揚げ1706円、魚の酒粕焼き950円。
合鴨のたたき揚げ1706円、魚の酒粕焼き950円。
店頭には酒林を飾る。
店頭には酒林を飾る。

『かんだ光壽』店舗詳細

住所:東京都千代田区鍛冶町2-9-7 大貫ビル1F/営業時間:17:30~22:00LO(お酒は22:30LO)/定休日:日・祝/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩3分

酔客全員で満面の笑み激安酒場で楽しまnight『イチゴ―』[神保町]

奥に立ち飲みスペー スも。毎月最終土曜は ダンスパーティー。
奥に立ち飲みスペー スも。毎月最終土曜は ダンスパーティー。

じゃがいもが丸ごと入ったカレーじゃがも濃いめのレモンサワーも、品書きは大体200円。「店名通り、昔は150円均一でやってたんだよ。注文や食器の片付けをセルフでお願いしてるから、そのぶん安く盛りよく出せるの」とユニークな店長さん。ノドンサワーなど謎の品書きも多く、サワージャパン300円を頼むと、ジョッキ内にJ形に曲がった魚肉ソーセージ。振り切ったギャグに乾杯!

牛すじ200円に玉子と豆腐を追加して300円、サバ350円。すぐ出せない料理はできあがり次第、拡声器で声がけ。
牛すじ200円に玉子と豆腐を追加して300円、サバ350円。すぐ出せない料理はできあがり次第、拡声器で声がけ。

『イチゴ―』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田司町2-15-9武蔵野ビル1F /営業時間:17:00~23:00/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄丸ノ内線淡路町駅・新宿線小川町駅から徒歩2分

自家製発酵食でお酒をちびちびが幸せ『Japanese SAKE STAND 85』[神保町]

くらかけ豆の白たまり漬450円(中央)、香り爽やかな無想厳雪100㎖ 550円など。
くらかけ豆の白たまり漬450円(中央)、香り爽やかな無想厳雪100㎖ 550円など。

開店以来、千客万来なのはお母さん担当の肴がお酒と抜群に合うから。唎酒師で酒匠の佐藤剛さんが選ぶ日本酒は、キレのある辛口からフルーティなものまで4カテゴリーに分けた16種含む計約35種を用意。「有名無名問わず全国の旨いと思った地酒を置いてます」。日本酒は約1週間で入れ替えなのでいつ行っても新しい出合いを楽しめる。

『Japanese SAKE STAND 85』店舗情報

住所:千代田区神田神保町2-28 神田製本会館ビル101 /営業時間:15:00 ~ 23:00(土は~ 21:30)/定休日:日・祝(GWは未定)/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩2分

なめろうは至極の逸品『立ち飲み 大松』[神田]

【さんサポイチオシ】なめろうは至極の逸品

さんサポ さんサポ

神田駅の高架下にある、小さな立ち飲み屋です。一見、どこにでもありそうな普通の立ち飲み屋なのですが、とにかく海鮮料理が群を抜いておいしい! 近くに『宝山 いわし料理 大松』という、いわし料理専門店があるのですが、ここはそこの立ち飲み屋です。それだけに“いわし料理”に関しては、特筆すべきおいしさです。刺し身、南蛮漬け、竜田揚げ、つみれ鍋などの定番メニューもさることながら、中でもなめろうは別格。注文をしてから作り出すこだわりと、ねっとりとした口当たりの中にも、新鮮ないわしの歯応えがサクサクとたまりません。このなめろうを一度味わったら、他ではもう食べられなくなる至極の逸品です。(味論さん)

構成=フラップネクスト 取材・文=鈴木健太、塙 広明、山内聖子、井島加恵 撮影=本野克佳、加藤熊三、山出高士、丸毛 透、逢坂聡