都心でやっていた昔ながらの喫茶店です『ばらーど』
半世紀以上も変わらぬコーヒーが、中野の路地奥で香る。マスターの西島静壹(しずいち)さんは、有楽町で修業した後、1966年に神田で『ばらーど』を開店。神田で11年、上野で11年、さらに京橋で26年営んできた。大家の都合で閉店になるも、「自宅を店にしちゃえ」と、3年前に最後の移転。充実のモーニングをはじめ特徴的なメニューは、ビジネス街を闊歩した証しだ。コーヒーの淹れ方に見惚れたという公子さんと結婚後は二人三脚で、今は、朝7時に公子さんが浅草のベーカリー『ペリカン』へパンを買いに。マスターは仕込みと庭の手入れを。9時に開店、穏やかな一日が流れ始める。
『ばらーど』店舗詳細
親しみやすい平成のジャズ喫茶『ロンパーチッチ』
大きめの音量のジャズに体ごと包まれる。齊藤外志雄(としお)さん・晶子さん夫妻が切り盛りするこの店は、いわゆる名曲喫茶とは違い、のんびりした雰囲気だ。店内には約2000枚のレコードが控え、「随時新しいものを仕入れては、一部を差し替えています」。王道から新譜まで、古今をまたぐラインナップが好奇心を満たしてくれるのだ。コーヒーは夫妻のお気に入り、バランスのいいコロンビアのみとし、新鮮なうちに使い切る。音楽と、なんて素敵なマリアージュ!
『ロンパーチッチ』店舗詳細
お隣さんを訪ねるように通いたい『café momo Gärten』
桃園川緑道沿いの、柿の木に覆われた二軒長屋が2013年春に蘇(よみがえ)った。雨音や鳥の声が届く店内は、柱や梁(はり)が残るのびやかな空間で、遠方から訪ねる人も多い。店主の嘉山隆司さんは、ここにカフェが求められていたと実感するも、「少しおしゃれ過ぎて、高齢者が入りにくいかな」と、案ずる。誰もが気軽に立ち寄れる地域の居場所になりたいと願っているからだ。ケースワーカーとして福祉畑を歩んだ経験を活かし、扉を大きく開いている。
『café momo Gärten』店舗詳細
木・金は11:00~17:30、土・日は11:00~18:00/定休日:月・火/アクセス:地下鉄丸ノ内線・大江戸線中野坂上駅から徒歩12分
全国のジャズファン注目の名喫茶『COFFEE JAZZ GENIUS』
1970年、渋谷・道玄坂で初めて針を下ろしてから約半世紀。マスター・鈴木彰一さんが生まれ育ったこの元花街に移転し、早28年が過ぎた。「渋谷時代はマニアが通う、地下の暗いジャズ喫茶でした。でも、今は明るくて、ご近所の方も来店してくださる」と、ママさん。棚のレコードは8000枚。15時から店に立つマスターは、この中から今いるお客に合わせてセレクトしたり、リクエストに応じて〝何年の誰の一曲〞をピタリと引き出す。
『COFFEE JAZZ GENIUS』店舗詳細
一味違う「カフェ」で楽しみたいなら…
ソフビ怪獣に囲まれる幸せ……『大怪獣サロン』
映画監督・造形作家の中野貴雄さんがプロデュースした怪獣カフェバー。店頭では怪獣造形作家のピコピコさん作のムーチョが出迎えてくれる。店内には『ウルトラマン』や『ゴジラ』などのヒーロー&怪獣から、オリジナルソフビ、はては常連さん自作のソフビズラリも並び、何ともにぎやか。子供からオタクまで客層は多彩で、ソフビで遊んだり、怪獣談議に花を咲かせたり、自作の着ぐるみを持ち込んだりと、思い思いに過ごしている。
『大怪獣サロン』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=信藤舞子、塙廣明(アドグリーン)、松井一恵(teamまめ) 撮影=門馬央典、金井塚太郎、木村心保、千倉志野