南の優しい味にほっこり『福記』
周辺には中国東北料理店が多いが、中国南方の味を食べたいならここ。「福建料理は味付けはあっさりで優しい味わいです」と、女将の陳芳芳さん。炒米线(海鮮焼きビーフン)をはじめ、米粉など麺の選択は豊富で、どれも店主夫婦の故郷の味だ。カキ、肉と野菜を生地で挟んで揚げた海蛎饼はかき揚げのよう。いつも揚げたてにつき、やけど注意! 一杯やりたい時はデリバリー注文でも人気な串焼きがおすすめ。ほんのり辛い味付けにお酒が進みそうだ。
『福記』店舗詳細
湯気すらもおいしい豪快農家鍋『滕記熟食坊』
あちこちのテーブルに置かれた木の蓋からモワモワと煙が出ていて一瞬ひるむ。この店のメインは中国東北地方の「鉄鍋炖(ドゥン)」で、中でも人気が東北農家炖(トンベイノンチャードゥン)。テーブルと一体化した鍋に薬味と具材を投入して炒め、豚骨スープを注いで蒸し煮に。鍋に張り付けたトウモロコシパンを浸して食べるという衝撃的な料理だが、スパイスと蒸気で極限まで旨味が閉じ込められた肉と野菜のホクホク感にも驚き。これは日本製のどんな鍋でも不可能。
『滕記熟食坊』店舗詳細
麺打ちから完成、完食まで心躍る『ザムザムの泉』
席はカウンターのみ。それは手打ち麺の迫力を体感できる特等席でもある。ハラール国産牛肉と野菜を使用する蘭州牛肉麺。注文を受けてから麺を打つのは食感・コシ・色にとことんこだわるから。素早く鍋に投入された麺が一杯ずつ茹で上がり、店主の鄧斌さんが具材をのせ目の前へ。届いたらすぐによく混ぜいただく。滋味深い牛骨スープはおかわりも可。ラー油と黒酢で味変を楽しめるのもいい。客の9割が日本人で、逆に中国人に紹介してくれるとか。
『ザムザムの泉』店舗詳細
構成=株式会社エスティフ 取材・文=松崎聖子(編集部)、邱 子菁 撮影=田中康弘、オカダタカオ