中身より外見から考え始める編集部

渡邉 まず何から考えましょうか。目立たないといけないから、色とか車種も大事ですよね?
町田 車もお弁当も、カラフルなほうがテンションあがります。
佐藤 雑誌のイメージカラーというと……ピンクか黄色ですかね?
土屋 それはデザイナーのM浦さんが使いがちな色だね。
渡邉 今月は緑ですよ! 黄色といえば、ホットドッグとアイスクリームの「大学堂」ですね。閉業してしまった「大学堂」のスピリットを勝手に引き継いで……
町田 白、黒、茶はけっこうあるし目立たないですね。エスニック系はその国の色を使っててかわいいですよ。
土屋 一色だと目立たないかな?
渡邉 「大学堂」は一応、3色ですよ。
佐藤 黄色は『玉○屋』とか『ハ〇サワー』とか、他にもありますよね。
渡邉 ……「大学堂」への思いはいったん胸にしまいます……。

ありし日の「大学堂」。(散歩の達人2017年8月号より。撮影=オカダタカオ)
ありし日の「大学堂」。(散歩の達人2017年8月号より。撮影=オカダタカオ)

渡邉 車種はどういうのがいいですか?
土屋 現実的なのがいいの?
渡邉 いえ、理想を語りましょう。
土屋 理想はワーゲンバスかなあ。
吉岡 ワーゲンバス、かわいい!
佐藤 最近EV仕様が出たらしいですよ。話題的にいいかもです。
町田 5人乗り以上がいいんじゃないですか。全員乗れて移動もできる。車の横の、開けるところにはカーテンつけたいですね。キコキコ回して角度変える。
渡邉 カーテン? キコキコ?
佐藤 シェードですかね?
吉岡 シェードはしましまのアイスクリーム屋さんみたいのがカワイイと思います!
佐藤 色は何を売るかによって考えたほうがいいんじゃないですか?
渡邉 やっぱり商店街ランチボックスがいいなあ。散歩の達人としては、大都会で働く人に東京ローカルの味を届けたいですよ。
土屋 確かに、雑誌的には東京にもローカルがある、ということもアピールしたいね。
町田 朝、どこかの商店街で仕入れたおかずでランチボックスを作り、オフィス街で売るという感じですね。

えっ、走る看板建築?

渡邉 それなら、車に商店街のゲートみたいなのあしらいたいですねえ。
町田 じゃあ、毎日、その日の商店街のゲートを作って取り付けますか?
渡邉 それは手作りだよね?夜なべだな……。
吉岡 ローカルなものを都心にっていうコンセプトなら、車は懐かしい色がいいですね。
町田 ……看板建築風にするとか?
渡邉 えっ、看板建築?銅板の緑色っぽい色、とか?
佐藤 緑がさらに赤茶になったような? そういう酒屋さんがあります。
土屋 酒屋かあ。そうするとビールケースとかも置きたくなるね。
町田 ちょっと椅子にもなるやつ。日よけも看板建築にあわせて緑がいいかな。
佐藤 となると、ワーゲンバスじゃないほうがいいかもしれませんね。
町田 ロケハンで軽トラっぽいキッチンカーを見ましたよ。
佐藤 看板建築なら、側面が平べったい車のほうがいいですね。
吉岡 看板建築が大都会を走ると思うと、すごいですね……。
渡邉 このタイプの車だと全員は乗れないから、当番制ですね。
土屋 編集作業のかたわらでやるからそれが現実的だよね~。
渡邉 いえ、理想を語りましょう。

佐藤 看板建築の酒屋っぽいとなると、お品書きは飲み屋みたいな短冊もありでは。
渡邉 短冊の素材は何ですか?
佐藤 木の札?
町田 竹みたいのはどうですか? パピルスみたいな?
土屋 パピルス??
渡邉 パピルスどこから下げますか? カウンターかなあ?
土屋 カウンターに下げるなら普通に紙でいいんじゃないかなあ?
吉岡 赤ちょうちんとかも、どこかにつけたいです。
渡邉 酒屋というより酒場になってきましたね。

酒場かと思いきや大衆食堂かも

渡邉 ユニホームはどうしますか。
土屋 ……割烹着とか?
渡邉 狙ってないのに狙いすぎ感が。
土屋 確かにやりすぎか。
佐藤 酒屋さんの前掛けは?
町田 いいですね。真ん中に散歩の達人マークをどーんと!
佐藤 「〇関」みたいな書体で!
町田 でも下だと、車の中に入っちゃうと見えないか。
吉岡 キャップはどうですか?
町田 それも車内だと顔が暗く見えちゃうかなあ。
土屋 現実的だな。
佐藤 お祭りの法被みたいなのは?
渡邉 祭りというより、植木職人さんが着てるような藍染めの渋くてカッコイイ印半纏がいいです!
土屋 印半纏はかっこいいかもね。
吉岡 鉢巻もいいですね。
佐藤 じゃあ手ぬぐいも作ろう!
町田 手ぬぐいは頭に巻いたり首に巻いたり自由でいいのでは? 各々のセンスに任せる。文化祭的に(笑)。
吉岡 じゃあ、鉢巻きにするのは編集長だけで。大将っぽく。
町田 模様は「散歩の達人」の「の」を散らす感じでどうでしょう。

渡邉 カウンターの上はどうですか? 調味料とかを置くのかな。
町田 しょうゆとかソースとか、家にあるようなのは置きたいですね。
吉岡 調味料置きはまわるやつ。メリーゴーラウンドみたいな。
渡邉 よく町中華にあるやつね。
佐藤 ごま塩は?
町田 それはもはや『大〇屋』では。
渡邉 爪楊枝もいりますかね? ウスターソースと中濃ソースは両方いるんでしょうか。
佐藤 それは大事だと思いますよ。
渡邉 調味料以外ではどうですか。
佐藤 お漬物も置きたいです。
町田 天かすは?
佐藤 それはモノによるのでは……。
渡邉 じゃあ、漬物は置いとこう。入れ物はタッパーですか? 壺ですか?
佐藤 壺じゃないですか?
町田 この前、柴漬けがあるキッチンカーがあって、彩りもよかったし、口直しにもよかったです。
土屋 酒場というか大衆食堂感も出てきたね……。

仕上げはリピーター獲得大作戦!

町田 あ、ドリンクは売らないんですか?
吉岡 たしかに、キッチンカーで買い物をしているとお茶が手に入らなくて、めっちゃ自販機探してました。
町田 コーヒーが付いて1000円っていうキッチンカーがありましたけど、商店街ランチボックスだったらお茶屋さんのお茶もほしいですね。
土屋 お茶、やりましょうよ。お茶屋さんも応援できるし、いいね。
町田 ちゃんと急須で淹れます!
吉岡 昔の駅弁についてきたポリ茶瓶みたいなのに入れたいです!
渡邉 ポリ茶瓶、わりと最近もどこかの駅で見かけた気がするよ。あとはリピーターの獲得も考えたいですね。散歩の達人専用のお弁当袋とかも作って販売してみますか?
土屋 エコだし、ビニール袋もどんどんなくなってるからいいかも。
町田 風呂敷はどうですか? 外でも膝の上にのせて食べやすいし。
土屋 でも風呂敷は包むのが面倒じゃない?
町田 確かに。キッチンカーはスピード勝負ですしね……。
佐藤 でもバッグだと、容器が常に同じ形じゃないと難しいですよね。
渡邉 容器もそれぞれの商店街で調達してくる想定なので、おそらく形はバラバラですね。まるいのとかもありそうです。
土屋 じゃあ、やっぱり風呂敷か。
渡邉 では、お茶はエコな風呂敷持参の方へのサービスでどうでしょう。

町田 何か、雑誌がやってるキッチンカーってことをアピールしたいですね。商店街やお店の紹介を入れる記事みたいのとか。
渡邉 あんまり場所がないから短冊を記事風にしてみますか?
土屋 商店街のある街を特集したらその街のPRもしたいね。戸越銀座の味とともに商店街をPRとか。
佐藤 そして雑誌もこっそり売りましょう。
渡邉 じゃあ、ポスターにPOPもつけて貼っておきます。あれ、このキッチンカー最高じゃないですか?
吉岡 編集長、これ実現しますよね。
土屋 えーと、皆さんも理想のキッチンカー、考えてみてください!

ちなみに編集部でも初のオンライン座談会でした。
ちなみに編集部でも初のオンライン座談会でした。

構成=渡邉 恵(編集部) イラスト=さとうみゆき